バーで酒ボトルを撮影している話
みなさん、初めまして。 OE(@oe_pix) です。
この記事は【2nd Roll】カメクラが沼へ誘う Advent Calendar 2019 - Adventar の12月12日分の記事です。前の記事は王騎士さんの「1年を振り返ってみたら壁の落書きばかり撮っていた #カメクラの沼カレ2019 【2nd Roll】」でした。
今回は、僕がよくやっている、バーでの酒ボトルの撮影について紹介しつつ、そこで役立つ機材たちについて解説します。
一応断っておくと、僕は独学趣味フォトグラファです。なので、バー撮りとか、ブツ撮りとかをもっと極めてる方がいたら、是非わいわいとお話ししたい…!という気持ちです。
バーの酒ボトルの撮影って?
常連のバーのTwitterアカウントで、新入荷品を告知するための写真を撮影してます。
入荷です!
— BAR ハーミット プレスト (@hermit_presto) 2019年10月25日
『No.3 ドライジン for LMDW 』
3年前ほど前のLMDW60周年記念のボトルですね。
複雑さがあるタイプというより
ジュニパーベリーの香りが上品にビシっと効いてるタイプのジンで、余韻は華やかです。 pic.twitter.com/lf3WAeLVz2
ただ、こういった入荷製品の満足いく写真が撮れるようになるまで、撮影フローと機材の試行錯誤がありました。
理由としては、バーという撮影場所の特殊性から、すんなりいかなかったのです。
バーという撮影場所の特殊性
三脚と照明が使えない
普通のブツ撮りだと十中八九、三脚を立てて、照明を複数セットして……という感じになると思います。
しかし(混んでいない時間帯とはいえ)営業時間中に三脚をたてると通路をふさいでしまい、周囲のお客さんに迷惑がかかるので難しいのです。補助照明も同様、バーの雰囲気を台無しにしてしまうため、営業時間中に使うことは難しいでしょう。
環境光が暗い
バーにもよりますが、いつも撮影しているお店は F5.6 ISO400 SS1秒 で適正露出になる程度の暗さです。これでもオーセンティックバーにしては、比較的明るい方かなと思います。
すなわち、どんなバーでもだいたい三脚が欲しい程度の暗さにはなるわけです。(早くもジレンマが…)
背景がうるさい
これもお店によりますが、背景となる棚は、カラフルなお酒のボトルにあふれています。
この棚がお店の雰囲気の演出に一役買っており、僕自身、大好きなお酒のボトルに囲まれてるとウキウキします。
でも、商品撮影の背景になったとたん、主題をかすませるお邪魔虫になります。
これは MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 AsphericalでF4まで絞って撮影した、参考写真です。
APO-LANTHARは良いレンズです。でもレンズの性質上、マクロレンズは若干(2m程度?)離れた物体のボケがうるさくなる傾向があります。
飽くまでも好みの問題ですが、上記写真についていえば、なんとなく背景の棚上段のボケのうるささが僕は気になってしまいます。。。
バーの酒ボトルを撮影するベスト(?)機材たち
こんな制約条件のもと、最終的にこんな機材に落ち着きました。
カメラ&レンズ
α7R III | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
Webの宣伝用写真であれば、4100万画素の必要はありません。α7 Ⅲでも問題ないと思います。
ただ、高画素機だと、後で写真のラベルを拡大して質感が確認できると、記録としてはとても楽しい(注:個人の感想です)と思います。
SEL100F28GM | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
様々な単焦点レンズを試した結果、ボケ味を最優先で、これに落ち着きました。
正直なところ、卓上で酒ボトルぐらい大きなものを撮影するには、焦点距離が長すぎます。ただ撮影場所の特殊性から、ボケ味を妥協できませんでした。Smooth Transfer Focusは偉大です。
本記事冒頭の酒ボトル写真は、このレンズで撮影しています。
カメラの固定具
机からカメラに向かって、順に以下の機材を組み合わせて、使っています。ちなみに全てReally Right Stuffです。コンパクトで固定力が強い、質のいい機材が揃っているなぁ。流石だなぁって気持ちです。
Multi-Clamp | Really Right Stuff
かさばらず、取り付ける場所を選ばないマルチクランプです。
自分の目の前の机に取り付けると、他のお客さんの邪魔にはならず、かつ固定力も十分です。三脚の代替品として採用しました。
BC-18 Micro Ball Clamp | Really Right Stuff
雲台としては最も低い小型の部類の割に、固定力が強いです。後述のLong Nodal Slideの端にフルサイズカメラ+中望遠レンズを取り付けても、ビクともしないのは驚きました。
もう少し大きい雲台(RRSでいえばBH-30程度)まで許容するなら選択肢は広がります。ですがそうすると、高さが増して、酒ボトルを斜め上から見下ろして撮る構図になってしまいます。ラベル全体にピントを合わせる上で、ネックになりやすいです。
ちなみにBPC-16も高さは程よく、かつこのBC-18より操作性は良いのですが、後述のLong Nodal Slideと組み合わせた時にボールの固定力が足りず、構図を決めてもズレてしまいました…。
Long Nodal Slide with Integral Clamp | Really Right Stuff
前述の通り、卓上のブツ撮りに100mmの単焦点レンズを使用してしまっている都合上、被写体と距離が足りなくなりやすいです。
そこで追加の撮影距離を稼ぐために採用しました。これにより距離の調整がしやすくなる反面、ブレや自由雲台の固定がズレる原因にもなります。
ボケ味を妥協して、もう少し短めの焦点距離のレンズを利用するなら、このNodal Slideは外した方がいいと思います。
Sony a7R III Modular Plates | Really Right Stuff
アルカスイス互換のクランプに、縦構図で取り付けられるL字ブラケットの中で、固定力が信頼できるので選んでいます。
撮影補助具
RMT-P1BT | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
縦構図用にL字ブラケットを取り付けていても、ストレスなく使えるBluetoothリモコンです。
バーによりますが、席によって若干照明の色温度が変わる可能性がありますので、携帯しておくと良いです。
結論
最終的に、ボケ味優先で100mm F2.8 STF GMを使うために、Really Right Stuffの諸々の機材が大活躍する、という構成になりました。
とりあえず今は満足しているので、最近は入れ替えもなく落ち着いています。(が、沼の住人ゆえに、どこかのタイミングで何かが入れ変わると思います 😇 )
Really Right Stuffの機材選びについては、ハクさんの一連のブログが大変参考になりました。ありがとうございました!
最後に
今回紹介した方法で撮影する上で、機材以上に重要なものがあります。
それは、お店の営業の邪魔にならないように「間と雰囲気を読む」ことです。
バーは、お酒だけではなく、その雰囲気も商品の一部です。
お店や周囲のお客さんにご迷惑をかけないよう、許可をとって、タイミングを見計らって撮影するようにしてくださいね。
明日はaika0156さんの記事です。お楽しみに!