GFX50Rの手振れ対策としてのアレコレ: GF45-100mm F4、そして一脚
昨年お迎えしたGFX50R。
ようやく、手振れ補正ナシの5000万画素機を手持ちで撮る感覚が、わかってきた気がします。
スナップ用のGF50mm F3.5なら、下限SSはだいたい1/100。
撮るときは、できるだけファインダーを覗いて、脇を締め、呼吸も止めて数枚のシャッターを切る。
そんな一連の操作が、ようやく染み着いてきました。
ただ、開放F値3.5のレンズでSS 1/100を確保するのは、なかなか難しいことも多いです。
まずセンサーの大きさゆえに、F3.5といえども割とボケてしまいます。風景やスナップなどで被写界深度が欲しいときは、最低あと1段、できれば2、3段は絞りたいところです。
すると、少し薄暗いだけでたやすく標準ISO感度の上限である12800まで上がってしまいます。
高感度耐性が悪くないデジタル中判機とは言え、ISO感度が上がるとノイズが気になりますし、解像感や階調の滑らかさは犠牲になることもあります。
そしてFuji機で特にISO感度を抑えたい理由として、ダイナミックレンジ拡張機能があります。
ハイライトを白飛びさせないように抑えながら、暗部を持ち上げた上でJPEG出力してくれる機能です。よくあるHDR機能とは違い、かなり自然仕上がるため、明暗差の大きい場面では頻繁に利用しています。 *1
これもFujiのJPEG撮って出しのクオリティを支える主要機能の一つではありますが、DR400%の設定だとだいたいISO 3200までしか使えません。暗部を自動で持ち上げているせいでしょうか。ISO 6400以上でDR400%にすると、ノイズが顕著に出てしまいます。
至極当然の話ですが、被写界深度を稼ぎたい場面や、ISO感度を上げたくない場面、またその掛け合わせの場面では、人間の慣れだけで対処するのは無理があります。
高額光学式手振れ補正
というわけで、GFXの標準ズームレンズで唯一、光学式手振れ補正(OIS)を搭載している「GF45-100mmF4 R LM OIS WR」を導入しました。
後述の通り、1月27日のFujiの新製品発表会を前に散財してしまうなんて……という内なる声と葛藤しつつも、以前レンタルして使ったときの経験から:
- ズームレンズにも関わらず、解像力が十分に感じた。同様にレンタルしたGF32-64mm F4よりも解像力含め、写りが好みだった。
- グリップ付きGFX50Rなら、違和感なく持てる重量(1010g)・バランスだった。
- 物撮りの際にピント面近傍のボケが若干騒がしくなるものの、自分のGFX50Rの主戦場である風景・スナップ用途ではさほど気にならなかった。
- 単体で見ると広角端側の焦点距離に物足りなさはあるが、GF23mm F4との併用を考えると、むしろ望遠端が長めでバランスいい。
- 近々どんな新製品が出たとしても、2020年に発売したての高性能標準ズームはそうそう陳腐化しないと思われる。
などの理由により、GFX用ズームレンズの大本命はこれだ!!と思っていたところに、中古の出物と遭遇してしまいました。
これは仕方ない。まったくもって仕方ないですね。
このGF45-100mm F4ですが、公式には「CIPAガイドライン準拠で5.0段の手ブレ補正性能を達成」と謳っています。
実写ではどの程度シャッター速度を落とせるのか、気になるところです。そこで、取り急ぎ簡単に実験したところ:
- OIS入・広角端45mm(35mm判換算で36mm)なら、SS 1/8。
- OIS入・望遠端100mm(35mm判換算で79mm)なら、SS 1/15。
自分の場合はこのぐらいSSを落としても、ちゃんと構えれば、だいたいブレずに撮れています。
「OIS切」時だと、45mmでも100mmでもだいたい1/125ならブレないし、頻度に差はあれど1/60だとしばしば微ブレしていました。
以上をふまえると、実写でも広角端なら3~4段程度、望遠端なら2~3段程度の恩恵はありそうです。*2
お試し一脚
一方でOIS無しの手持ちレンズ、例えばGF23mm F4で被写界深度を稼ぎたい場合も多々あります。
またGF45-100mm F4のOISは前述の通り強力ですが、薄暗い場面でなおかつ被写界深度を稼ぎたいとなると、OISだけで対処するのは難しいです。
かといって、スナップ撮影のために三脚を持ち歩くのはなかなか厳しいですし、ミニ三脚は置ける場所に制約があったり、耐荷重量の面でも不安があります。
ということで、試しに一脚を導入してみました。
今回導入したSIRUI P-326はカーボン製の6段の一脚です。軽さと縮長、最大まで伸ばした際の安定感などのバランスが、Gitzoを含めた他のメーカーの一脚よりも良く、かつリーズナブルだったのが素晴らしいです。
雲台は一脚用の安価・軽量で評判が悪くなかったものをお試しで調達し、余ってた手持ちのクランプと組み合わせました。
この組み合わせで試用してみた感じ、だいたい2~2.5段分ぐらいシャッタースピードを落とすことはできていそうです。悪くありませんね。もう少し使い込んでみようと思います。
更なる高み?へ
来る1月27日 日本時間22時より、FujifilmのX Summit GLOBAL 2021なるイベントが予告されています。
1月27日(水)22時~ YouTubeチャンネルにて
— FUJIFILMXseriesJapan (@FujifilmJP_X) 2021年1月20日
X Summit GLOBAL 2021 ライブ配信!https://t.co/6vngz0YGlW#FUJIFILM #Xシリーズ #gfx #xsummit pic.twitter.com/JESEL0vtoJ
そこでは新型GFXや、GFレンズの発表が噂されていますので、注目ですね。
*1:この機能はGFXだけでなく、APS-CのFuji機にも搭載されていますが、興味深いことにGFXの方が仕上がりが自然のようです。
「同じデータ値、同じダイナミックレンジの設計をしているのに、ダイナミックレンジのコントロールを変更した際に、XシリーズとGFXシリーズで何故写真としての印象がわずかに変わってしまうのか? については分かっていません。」以下の記事より抜粋。
富士フイルムのフィルムシミュレーションはどのようにつくられているのか(後編) - デジカメ Watch
*2:なおOIS ON/OFFで被写体を変えながら数回ずつ撮影し、結果をカメラ本体のLCDで最大まで拡大して見比べる、程度の計測です。
*3:この雲台の耐荷重量は公称2.5kgですが、GFX50R + L字ブラケット + GF45-100mm F4の合計2kg弱の機材を載せると、固定しきれずに微妙にズレてしまいます。