GFXに換算28mmレンズ欲しくない?自分は欲しかったので買った。
先日、待望の大口径レンズであるGF80mm F1.7が発売され、Fujifilmの中判向けレンズもがますます充実してきました。
Gマウントレンズ ロードマップ | 富士フイルム Xシリーズ & GFXより引用
しかしながら、やっぱりまだまだ手薄だなと思う領域はあります。例えば広角ズームはいまだにありません。また、最大撮影倍率が高めのレンズも少な目です。
換算28mmは、いずこ?
そして個人的に不満を持っているのが、換算28mmをカバーするレンズが少ないこと。自分にとって28mmといえば広角スナップ用途なので、できれば寄りたいものです。
現状、純正レンズだとGF32-64mm F4(換算25-51mm相当)が唯一、換算28mmをカバーしています。カバーしているその他の焦点距離も使いやすいものの、875g(フードなし)と重量級であることに加え、最大撮影倍率が0.12 倍と低めです。また、GFX50Rで使う限りAF速度も遅めです。
その他の純正レンズで近いものでいえば、GF30mm F3.5は510g(フードなし)です。色収差も少なく、逆光にも強い、使い勝手の良いレンズだと思います。ただ個人的に換算24mmはスナップ用途ではやや広角すぎるのと、最大撮影倍率が0.15倍止まりだったため、見送りました。
現状、程よい選択肢が純正から出てくる気配がしばらくなさそうなので、マウントアダプターの力を借りて、他社製中判レンズを使うことにしました。
HD PENTAX-D FA645 35mm F3.5
Pentax 645マウント向けの35mm単焦点レンズの最新である、3世代目のレンズです。デジタル中判で換算28mm、最短撮影距離 30cm、最大撮影倍率 0.25倍でありながら、570gに抑えられています。
HD PENTAX-D FA645 35mmF3.5AL[IF] / 広角レンズ / 645マウントレンズ / レンズ / 製品 | RICOH IMAGING
35mm F3.5の第一世代である A645 35mm F3.5や、第二世代であるFA645 35mm F3.5より10gほど重めのようですが、D-FAはデジタル向けに再設計され、逆光にも強くなっています。
また海外のフォーラムでPentax 645向け35mm F3.5の世代間比較のコメントなどを眺めている限り、逆光耐性だけでなく、像面湾曲やシャープネスなども大きく改善しているようです。そんな中で、たまたま割安なD-FAレンズが見つかったため、今回の機材導入となりました。
試写する限り、解像感は十分な一方で、若干のフレアや、樽型歪曲、そして逆光時に緑色のフリンジ*1がみられました。
個人的には、求めていたスペック、かつ求めていた写りなので大満足です。人工物を撮るときに樽型歪曲がちょっと気になりますが、現像時の補正は難しくありません。自動レンズ補正ができずとも、簡単に手動で補正可能でした。
マウントアダプターについては詳細は後述しますが、レンズとFotodiox マウントアダプターを含めた重量は実測 834 gでした。フード込みで883 g。GF32-64mm F4より若干軽いぐらいですね。(3/26追記: RAYQUALマウントアダプターの場合、もう少し軽くなりレンズ+アダプターで765gです。詳細後述。)
そのほか検討したものたち
CONTAX 645向け Distagon 35mm F3.5
最近人気の高いCONTAX 645向けの最広角レンズです。GFXから使う場合でも、Fringer製マウントアダプターを使えばAFが効く点が魅力です。しかしながらレンズだけで880g(!!)あり、かつ最短撮影距離 50cmと寄れないため、今回求めている対象からは真っ先に外れました。
参考: 価格.com - 京セラ Carl Zeiss Distagon T* 35mm F3.5 スペック・仕様
Mamiya 645向け 35mm F3.5
Mamiya Sekor CのレンズをGFXで利用されている方も多いですよね。オールド大口径レンズであるMamiya Sekor C 80mm F1.9の存在や、こなれた価格の割にしっかり解像するコスパが魅力です。
Mamiyaからも645判で35mm F3.5が出ており、AF対応版のスペックを確認する限り、460gとPentax 645の同スペックレンズより100gほど軽いのが魅力です。最大撮影倍率は0.16倍なので、寄れないというほどではないと思います。最初はこちらを探したのですが、状態にかかわらず35mm F3.5の中古品自体をなかなか見かけませんでした。
参考: 価格.com - マミヤ Mamiya セコール AF 35mm F3.5 D スペック・仕様
35mm判の焦点距離35mmのレンズ(ややこしい)
GFXでケラレなく使える35mm判レンズは多数報告されています。35mm程度の広角レンズであっても、ケラレなく、周辺減光どまりで使えるものも複数あるようです。
GFX 50R with Ultron 35mm F1.7 GFX 50Rで使える広角レンズを探す – metalmickey's camera
GFX 50Rで広角35mmレンズは使えるか!?: metalmickey's blog
GFX用 EFマウントコンバーター | SUWA CHANNEL WEB
GFXのイメージサークル(中判デジタル)に対応するオールドレンズの一覧表を作成しました | オールドレンズの定額制使い放題シェアリングサービスTORUNO(トルノ)
GFXのセンサーでケラレが発生しない35mm用オールドレンズ - 海上撮影家が見た上海2
35mm判の広角~標準レンズをGFXで使う場合、開放付近の周辺減光や周辺部の解像度低下と、どう付き合っていくのかって話になるのだと思います。
周辺減光は、写真中央付近の主題に視線を誘導する効果があるという意味では、むしろプラスに働いたりしますよね。ただ自分のスナップ写真の傾向でいうと、空のグラデーションを主題にしたり、空や電線を四隅に逃がす写真をよく撮ります。そういう写真だと、周辺減光が主題や視線誘導を邪魔するノイズになりそうです。*2
悩ましかったのですが、今回はHD Pentax D-FA645 35mm F3.5のスペックの方が自分に合ってそうだったので、そちらを選びました。機会があれば、35mm判レンズを試してみたいところです。
Fotodiox製 マウントアダプター
なお、Pentax 645 - GFXのマウントアダプターはFotodiox社製のものを購入しました。以前購入した、同社製のSony Aマウント-GFXアダプタの作りが良かったためです。
Fotodiox Pro Lens Adapter with Built-In Aperture Control Dial - Compatible with Pentax 645 (P645) Mount D FA & DA Auto Focus Lenses to Fujifilm G-Mount Digital Camera Bodyfotodioxpro.com
My new lens...
— OE (@oe_pix) 2021年2月9日
Sony Aマウントの135mm F2.8 STFと、FotodioxのSN(a)-GFXマウントアダプターを入手しました。
44x33mmのイメージサークルを十分カバーしており、周辺減光も感じられません。
また試し始めたところですが、換算107mm付近の使いやすい画角で、T4.5のSTFボケで遊べるのは楽しいですね pic.twitter.com/iblgQxHrAy
今回のアダプターも電子接点はなく、全てのレンズをMFで利用する必要があります。そして絞りリング付きなので、絞りリングがない一部のD-FAレンズにも使うことができます。また、アルカスイス互換ダブテールの三脚座がついているので、三脚に固定する際に便利です。*3
しかしながら、今回のアダプターはレンズ側に僅かな「遊び」がありました。アダプターにレンズをつけても固定しきれず、少しだけカタカタと回ります。この「遊び」はSony Aマウント-GFXアダプタには見られなかったものです。
またこのマウントアダプターを装着すると、レンズ本体の絞りリングは利用できません。レンズ側の絞りリングをF32にした上で、アダプター本体の絞りリングで調整する必要が発生します。数字表記の無いアダプター絞りリングで調整するのは、若干の面倒くささを伴います。1目盛り分がおよそ1段に相当するようで、素早い調整には慣れが必要そうです。
(3/26追記) RAYQUAL マウントアダプター
Fotodioxの前述のマウントアダプターは以下の理由で、ファインダーを覗いたまま絞りを調整しにくい難点がありました。
- マウントアダプターの絞りリングがクリック感がない
- 元々絞りリングの回転角が小さいため、クリック感がないと調整しづらい
そこで、高精度で名高い宮本製作所のRAYQUALのP645-GFXマウントアダプターを、公式サイトより購入しました。
届いてみると、Fotodioxアダプターと比較して まったくガタつきが無く、しかも69gも軽く192gしかありませんでした。レンズ+RAYQUALアダプターの重量は765g、フードを入れると814gです。当然、絞りリングも問題なくスムーズに動作します。
まだ持ち出してはいませんが、現時点での触り心地でいえば個人的にはRAYQUALのアダプターの方を圧倒的にお勧めします。
総括
HD PENTAX-D FA645 35mm F3.5は、少なくとも5000万画素機では十分に解像します。*4手持ちGFレンズと混ぜて使っても違和感を感じません。
強い光を構図に取り込むと、光源付近に多少フレアや、緑色のフリンジ、若干のコントラスト低下*5が見られます。主観ですが、どれも気になるほどのものではなく、むしろ強い光を構図に取り込んだときに演出として使えるような、上品なものだと感じています。
若干の樽型歪曲が見られますが、個人的にはスナップ用途であれば撮って出し許容範囲だと感じます。人工物を撮るときは、Lightroomなどの手動レンズ補正機能で簡単に補正可能です。
よく映り、かつ寄れるスナップレンズは使っていて大変楽しいですね。良いレンズだと思いました。あとRAYQUALはいいぞ。*6